8月30日(日)に行われたクリエイティブツアー「肥薩レトログラフィ」。
今回で2回目(2年目)になります。
僕らがやっているこのツアー(デザイン塾の校外セミナー)では、参加者に一冊の冊子を教材として配付しています。
この冊子では当日巡る場所について、歴史などの説明文と豊富な写真で、70ページに及ぶボリュームで紹介しています。
これを印刷して書籍として発行できるほどの、手前味噌ではありますがよくできた冊子なのです。
ツアーを企画するときはだいたい3ヶ月~半年くらい前から、候補地について調べて下見に行きます。
この場所で何を伝えたいのかなど、ツアーのテーマやコンセプトを決めて場所をセレクトしていきます。
何度も足を運び写真を撮ります。文献や資料などを集め原稿を書きます。
これをA5横の判型の冊子にレイアウトしていくわけですが、このレイアウトについてお話ししたいと思います。

クリエイティブツアー冊子

エフ・ディデザイン塾ではデザイン講座という受講期間6ヶ月のデザインを学ぶ講座があります。
この講座ではデザイン作業においてまず必須となるIllustratorやPhotoshopといったアプリケシーションの操作方法や、
どのように配置したらきれいにレイアウトできるのかというデザインのルールなどについて教えています。
前期3ヶ月で9回、後期3ヶ月で9回の全18回の講座の中で、
アプリケーションの使い方からレイアウトのコツまでを学ぶ内容になっています。
前期では上記のIllustrator・Photoshopという主要アプリケーションの操作を学び、
後期ではInDesignというレイアウトソフトを使って、各自オリジナルの冊子を制作していきます。

エフ・ディデザイン塾
エフ・ディデザイン塾

クリエイティブツアーで配付している冊子の製本は袋とじ製本といって、
紙を折り曲げて、折り曲がった山の部分が小口(本の端)にくるように製本された綴じ方です。
昔の和綴じ本などで見かける製本ですね。
少ないページ数でも2枚で表裏を構成するのでボリュームが出ます。
ツアーの冊子は毎回70ページあるのですが、薄い紙に印刷して約1センチ近くの束になります。
デザイン塾で受講生が制作する冊子は32ページ~で、束が約3ミリほどです。
袋とじ製本でないと、32ページ程度では束の厚さが出ないので、背表紙のある本ができません。

クリエイティブツアー冊子(エフ・ディデザイン塾)

クリエイティブツアーで配付している冊子です。毎回70ページほどあります。

クリエイティブツアー冊子(エフ・ディデザイン塾)

袋とじ製本とは、折り曲げた部分が小口(外側)にくる仕様です。

クリエイティブツアー冊子(エフ・ディデザイン塾)

少ないページ数でも背表紙の厚みを出すことができます。

ツアーの冊子は横型なのでページの開きが柔らかく、また紙も薄いのでさらに開きやすくなっています。
こちらはA3の紙の上下にページを配置して出力し、まっ二つにカットし折っています。
製本の話はこのくらいにして、レイアウトの話をしましょう。

クリエイティブツアー冊子(エフ・ディデザイン塾)

下からA3の紙に2丁付で配置したもの。その上は上下をカットしたもの。その上はさらに折ったもの。

クリエイティブツアー冊子(エフ・ディデザイン塾)

このように上下をカットして折り曲げていきます。

クリエイティブツアー冊子(エフ・ディデザイン塾)

見開きで隣り合うページはそれぞれ別の紙の右側と左側になります。
そのため、製本用にページの入れ替え作業がプリント前に必要になってきます。(割と面倒くさい…)

クリエイティブツアー冊子(エフ・ディデザイン塾)

製本後はこのような感じになります。

A5横型の冊子は4段組のレイアウトルールが敷かれています。
本文の文字サイズは9Q・行送りは15Hになっています。
この「Q=級(よみ:きゅう)」と「H=葉(よみ:は・ぱ)というのは、
組版設計における文字の大きさや行の空きを指す単位で、1Q・1Hともにmmで換算すると0.25mmという大きさです。
なので、9Qの文字のサイズは、9×0.25mmで2.25mm四方ということですね。
といっても文字はいっぱいいっぱいに設計されているわけではないので、書体によって見え方も異なります。
ツアー冊子で使われている文字はモリサワ書体のA1明朝体という書体で、
この書体は若干小さく見える(設計された)書体です。
(エフ・ディで発行しているフリーペーパーlittlepressもこのA1明朝体でデザインされています。)

エフ・ディデザイン塾

※上記の組版設計はA3の紙に2丁付でプリントすることを想定して設計しています。

クリエイティブツアー冊子レイアウト画面

※袋とじ製本のためページの順序や左右が入れ替わっています。

横組4段の字間は若干詰め処理されています。
ツアー冊子のレイアウトは4段の左1段を見出し、またはスペースとして利用し、
残りの3段を使って左揃えでレイアウトしています。
段組みは左揃えのフリー改行で、字切りのいいところで改行しています。
行配置は天地マージン内のセンター配置で、行のボリュームに関わらず天地センターに揃うように設計されています。
たまにサブ写真がある場合は、1段+断ち切りまでのスペースを使って配置しています。

エフ・ディデザイン塾
エフ・ディデザイン塾

文字と写真をどのように配置(レイアウト)していくのかというルールを作るのが組版設計です。
この設計がしっかりしていると、その後レイアウトしていく作業は簡単です。
またルールに基づいたレイアウトは美しく、視認性も高くなります。

エフ・ディデザイン塾
エフ・ディデザイン塾

かなり専門的なことで、少しちんぷんかんぷんな方もいるかと思いますが、
レイアウトのルールを順序よく理解していくと、実際にできるようになってきます。
後期の授業ではInDesignを使ってレイアウトを実践しながら、これらの理解を深めていきます。
なかなか、文字で説明するのは難しいですね。教則本を読んでも頭の中に入ってこないわけです。
これは適度に笑いも混ぜて教えていかないと、溺れそうですね。

今年4月に入塾した受講生があと3回で終了します。
今は冊子制作のピークを迎えていて、みんな顔色が悪いです(笑)。
あと3回で間に合わない人は完成するまで面倒を見ますので、やり遂げてくださいね。

長文を読んでいただき、ありがとうございました。
ではでは。

エフ・ディデザイン塾22期冊子制作

http://fddj.cc/archives/3775
http://fddj.cc/archives/3943

クリエイティブツアー「肥薩レトログラフィ」
http://creative-tour.fddj.cc/tour/2417/

こちらにもツアー冊子の制作の様子をアップしています。
http://creative-tour.fddj.cc/unclassified/1443/